VSマルクソウル
マルクソウルが、カービィの前に降り立った。
「カービィ、お前を絶対に許さないのサ!」
ノヴァの力をその怨念で吸収し、パワーアップを遂げたマルクソウル。発する憎悪は強風のごとくカービィにふきつける。だがカービィは怯まない。数々の強敵を打ち破ってきたハンマーをぐっと握りしめて、マルクソウルを睨みつける。
お前に負けるつもりはない。
「生意気なやつなのサ!」
マルクソウルはそれでもケタケタと不気味に笑った。
「その生意気な顔を、すぐにグッチャグチャの泣き顔に変えてやるのサ! さあカービィ、覚悟するのサ!」
マルクソウルはその不気味な翼を大きく羽ばたかせた。激しい強風の後、マルクソウルが大口を開ける。その奥から見える光の帯を見たカービィはすぐ伏せた。
ゴウッと、その頭上を光の帯が通過した。
「外したのサ」
マルクソウルは悔しそうにつぶやいた後、高く跳び上がる。降り注ぐのは、イバラの種。毒々しい色のバラを咲かせつつ天まで届くイバラが伸びるが、カービィはハンマーを振って、目の前に伸びたイバラを薙ぎ払った。イバラはすぐ消滅するが、今度は天から赤と青の球体らしきものが降り注ぐ。
とっさにカービィはハンマーで防御態勢をとる。地上に落ちたその球体は絵の具のようにべったりと広がったがすぐ消滅。ハンマーにもいくつか降り注いできたが、完全に防ぎきる事は出来ず、カービィの体が少し濡れる。ピリピリと体に痛みが走った。
「ケケケ、まだまだ!」
辺りが突如暗くなり、穴のようなものが出現する。以前マルクと闘った時に繰り出した、何でも吸い込むブラックホールであることに気付いたのだ。慌てて走って逃げだすが、周りに結界がはりめぐらされており、カービィは、ぶつかってしまった。だが幸い、ブラックホールによる吸引から逃れるには十分な距離だった。
ブラックホールが消えると同時に、マルクソウルが鉄球を吐き出そうと口を大きく膨らませる。カービィはボールのように飛びあがり、ハンマーで思い切り脳天を殴る。
「ぶわっ、何するのサ!」
マルクソウルの口から吐かれた鉄球は中途半端な大きさで、カービィの体の半分程度しかなかった。だがそれでも直撃すればタダでは済むまい。
「やっぱりオマエはムカつくのサ……!」
怒り狂ったマルクソウルは翼をはばたかせて、空気を切り裂いた。四つの真空の刃がカービィを襲う。マルクの時もこれを放ってきたが、大きさは段違いだ。しかし、大きい分、動きも見切りやすい。カービィはハンマーを握ったまますばやくスライディングし、真空の刃の下をくぐる。マルクソウルが次の一撃を放つ直前に、あらかじめ力をためておいた、鬼殺しを放った。力を溜め、炎の力をまとったハンマーの一撃は、マルクソウルに先ほど以上に強烈な一撃となった。思い切り振りまわしたハンマーで派手に顎を殴られ、マルクソウルはショックでのけぞる。動きの止まったのを見逃さずにカービィは続けて、バコンバコンとハンマーでマルクソウルを殴った。
「ふざけるなああああ!」
さらなる真空の刃がカービィに襲いかかる。とっさにハンマーをつきだして防いだが、刃のひとつが派手にハンマーを切り裂く。柄が半分に折れ、スッパリとハンマーの半分が切り落とされた。
驚愕するカービィに、マルクソウルはケタケタ笑う。
「これでもうハンマーは役立たずなのサ。さあ、このままトドメをさしてやる!」
飛びあがったマルクソウルは思い切り空気を吸い込み、頬を膨らませ、真っ白な光の帯を打ち出してきた。カービィはとっさにふせて回避した。
落下するイバラの種から逃げ回りつつも、カービィは、殴れなくなったハンマーを握りしめたままだ。マルクソウルはケタケタ笑う。
「何チンタラ逃げ回ってるのサ! お馬鹿なカービィ! 役立たずのハンマーなんか捨てればいいのにサ!」
マルクソウルは大きく口を開けて突進してきた。カービィを喰い殺すつもりだろうか。カービィはハンマーを構えなおし、きっとマルクソウルを睨みつけるや否や、いきなり体を回転させた。
炎をまとったハンマーが、一回転して勢いをつけたカービィの手から投げられる。
鬼殺しハンマー投げ。
突進してきたマルクソウルは、不意をつかれた。慌てて翼でガードしようとするも間に合わない。ハンマーは炎をまといつつ勢いよく飛び、マルクソウルの額を直撃した。
「カービィ……!」
力尽きて倒れるマルクソウル。
「オマエだけは、お前だけは……!」
どすぐろくなったマルクソウルの体。そして、聞くに堪えぬ金切り声をあげながら、その体は真っ二つに裂け、消えていった……。
マルクソウルは、敗れたのだ……。
勝利したカービィは大きく息を切らしつつ、スターに乗って、その場を後にした。ポップスターは勝者カービィを温かく出迎えてくれた。