フルーツ占い



 ドミナの町のバザー。いつも人でにぎわう、楽しいバザー。
「はいはい、占いは五十ルクだよ。それよりまけることは出来ないかんね!」
「はーい」
 バドとコロナはそれぞれ五十ルクずつ渡す。フルーツ占いで生計を立てるメイメイは、まずコロナの運勢を占う。バザーの隅で占いをやっている、バザーの名物とも言える人物。普段はどうでもいいことを占いの結果として出してくれるが、たまに冒険のヒントを言う事もあるのだった。
 バドとコロナは、バザーで買い物を済ませた後、この占い師にお金を払って運勢を占ってもらっている。真面目に信じてはいないけれど。
「えーと、そちらのお嬢さんは――」
 メイメイは目の前のフルーツの皿から、パイナップルを取りあげる。
「しばらくパイナップルを食べたくなくなるだろうね〜。ちょっと幸先が悪いよ」
 それから今度はバドを占う。目の前のフルーツの皿からメロンを取りあげる。
「えーと、そちらの坊やは――今夜キノコにご注意、ね」
 いつも通り、内容のはっきりしない占いであった。だが双子はこれを聞くのが楽しみなので、占いの結果が当たっていようがそうでなかろうが、別に気を悪くすることはないのだった。
 メイメイに礼を言った後、双子はいつもの家へと戻る。
「パイナップルだってさ〜」
「今夜はキノコにご注意、だってさ」
 昼下がりになって、トレントの枝に実った時計パインがリリリリと鳴った。食べごろになると自らアラームを鳴らして、知らせてくれるのだ。本を読んでいた双子は、収穫に急ぐ。
「やあ、ちょうど実ったよ」
 収穫しに来た双子に、トレントは微笑んだ。コロナは時計パインを枝からもぎ取る。バドは、ドッキリマッシュを何とか枝からもぎ取る。そうして収穫は順調に進む。
「あれっ?」
 ふと、バドは枝の隅に目を止めた。家の形をしたキノコが、生えているではないか。
「おお、珍しいものが実ったね。それは小屋タケというのだ」
「こやたけ?」
「知ってるわ、すっごく珍しいキノコよ!」
 コロナは目を輝かせる。別に彼女はキノコが好物と言うわけではない。
「すっごいレアなものなのよ。きっと美味しいわ!」
「美味しいかなんて、食ってみないとわからないじゃん」
 収穫を終えた後はペット小屋で、ペットに餌やりをする。プチドラゴン、チョコボ、ポト。それぞれの好みは違っており、双子はそれを忘れないように、小屋の中に紙に書いて張り出してあるのだった。そうして餌やりと掃除を終えた後は、夕食の支度。
「小屋タケとドッキリマッシュをメインディッシュにして、時計パインをデザートにしよう! バド、料理の本を持ってきてよ」
 彼の留守番中に家事全般をこなす双子。料理のレパートリーが増えてきた事が、最近の自慢だ。さらに、料理だけでなく、菓子作りもできるようになった。
「ヴァレリさんもお料理しましょ」
 料理の本を見ながらではあったが、双子とペンギンは一緒に料理を作り始めた。
「デザートは私がつくるねー」
 コロナはそう言って、収穫したばかりの時計パインを半分に切った。
「いっぱい収穫したから、大きいの作ろうっと!」

「ただいま」
 夕方。彼が帰ってきた。双子はキッチンから出てきて、出迎える。
「おかえりなさーい」
 今日の夕食は、キノコ入りスープとサラダ、デザートは時計パインのパイ。
「いっただっきまーす」
 バドが自分のスープをスプーンですくった途端、いきなりスープの中から、何かが飛び出した。
「うわあああああ!」
 驚きのあまり、彼は椅子ごとひっくり返った。
 ドッキリマッシュが、スープの中から飛び出したのだ!
「バド、大丈夫なの?!」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫……?」
「ああ、ビビったあ」
 起き上がりながら、バドは、自分のスープ皿から飛び出ているドッキリマッシュを見つめていた。
 食事が終わってデザートにうつる。
「あれ、コロナ食べないの?」
 パインパイをほおばり、そのわずかな酸っぱさに顔をしかめつつ、バドはコロナに問うた。コロナは自分の前に置かれたパイの皿に全く手をつけていない。
「いらない……味見しすぎて、食べたくないの」
「そういえば、パイを焼いてる間も、時計パインの残りを食べてたよな、おやつのかわりに。じゃ、俺がもらうけどいい?」
「あげる……うう」
 コロナのおしやった皿を、バドは喜んで受け取り、ふた切れ目のパイをほおばった。

 今日のフルーツ占いは、大当たりだった。