生まれたばかりの雪の白。
穢れ一つない、純粋な白。
けれど、純粋だからこそ、一点の曇りも無いからこそ、
いとも簡単に傷つき、穢れ、白は白でなくなっていく。
あいつの持っていた、もう片方の翼は、
昔は同じ純白だったのに、
今はもう見る影もない……。
黒く穢れ、傷つき、飛ぶことすら出来ない。
最後には、あいつは自棄になって、
自分で自分の穢れた翼を切り落としてしまった……。
あいつに残されたのは、翼の残骸と、
壊れかけたあいつをつなぎとめる3つの『カケラ』だけ。
……そうなりたくないから、殻にこもりたい。
どこへも行きたくない。
どこかへ行けば、傷ついてしまうから。
『ここ』にいれば、誰も傷つけに来ない。
嫌なことだって、見ることも聞くこともない。
『この場所』にいる限り、ずっと、
白は白で在り続けられるから――。