第8章 part1



 咆哮。
「ついに……」
 ついに封印が解けてしまった。
 ヨランダは思わず身震いした。燃え上がるモノがここへ来ようとしているのだ。だが、戦うすべを持つ者たちはまだ目覚めない。
「ケルベロス……お願い……あんたしか頼れないのよ」
「クゥン」
 冥府の番犬の鳴き声は少々情けなかった。燃え上がるモノを滅する事が出来ない以上、目覚めまでの時間稼ぎをせねばならないとはいえども、この頼りない鳴き声に加えて、尾を股の間にはさみこんでいるようでは……。
「しっかりしてちょうだいよ!」
 ヨランダは思わず番犬に怒鳴りつける。
「アタシは戦えないし、他の二人は眠ったまま目覚めない。あんたしか頼れるものはいないのよ! 何のためにあんたは冥府の入り口を守って、獣たちを狩り続けてきたのよ! 冥府から役割をもらっているんだから、それをしっかり果たさないとだめじゃないの!」
 叱咤され、ケルベロスはいくらか勇気を取り戻した様子。己を奮い立たせるべく、まっすぐ首をあげる。が、その体はどう見ても、恐怖で震えている。現に尻尾が高く上がっておらず、何かショックでもうければ即座に股の間に挟み込んでしまいそうだ。
 ケルベロスが(形だけでも)しゃんと立ったはいいとして、ヨランダはそれでも不安であった。封印がとかれてしまったのだ、もうじき、燃え上がるモノはここへやってくる。戦うすべを持つケルベロスがこんなへっぴり腰なので不安だったが、それ以上に不安を募らせる原因は、《意思》が彼女に伝えた、ひとつの記憶であった。
(あんなのを見せられて、受け止められるのかしら……。アタシだったら、とても無理だわ。あんなの見せられたら、たぶん発狂する……)

 燃え上がるモノは、歩き始めた。一歩歩くたびに、その体を包む炎が激しく燃え上がっては消え、別の個所から燃え上がる。踏みつけたところは一瞬だけ赤い炎があらわれるが、すぐ消えていく。だが、不気味な足跡が残る。闇の炎が消えた後、そこはドロドロと煮えたぎっている。そのたびに冥府からうめき声のような不気味な音が降ってきた。
「タマシイ、ヒトツ、ニ……」
 誰かに道を聞いたわけでもないのに、まっすぐ、確実に、燃え上がるモノは、魂の樹木へと向かって進んでいる。
「ヒトツ、ニ……」
 燃え上がるモノは何やらつぶやきながら、進んでいく。その様子をかなり離れたところから、わずかに生き延びた冥府の獣や《忌まわしいモノ》が、怯えたまなざしで見つめている。魂の樹木へ向かっている燃え上がるモノに、誰も手を出そうとしない。魂の樹木へ向かっているのに、追いかけようともしない。皆、わかっているのだ。追いかければ、奴に食われてしまうと言う事を……。元は同じ冥府の獣であったというのに。
 燃え上がるモノは、ゆっくりと歩いていく。ずっと遠くに、青白い光の塊が見えてくる。あれが、魂の樹木だ。
 魂の樹木の傍に、三つ首の番犬が立ちふさがっている。
「ジャマモノ、ハイジョ……」
 燃え上がるモノの口の中で、赤と闇の、二つの色の炎が混じり合った。その二つの炎が混じって、それは、ひとつの大きな球体を作り上げる。
「ハイジョスル!」
 燃え上がるモノは怒りの咆哮をあげた。

「来た」
 ヨランダは思わず声を出した。遠くからでも見える、赤い炎の揺らめき。その揺らめく炎は徐々に近づいてきている。間違いない、あれは燃え上がるモノの身を包んだ炎だ。赤い炎はたびたび闇色の炎に変わる。
「クゥン」
 変わらぬ、情けない鳴き声。敵を目の前にして勇気がくじけたのだろうか。仕方ないかもしれない。ヨランダの体が小刻みに震えてしまっている。自分が喰われてしまうかもしれないからだ。
 咆哮。
 だがこの咆哮は、ケルベロスが発したものであった。己を奮い立たせるべく、吠えたのだ。
「ねえ、冥府、この木の周りだけでも結界を張れないかしら?」
 ヨランダは、ケルベロスによる、耳をふさぎたくなるほどの大きな咆哮のあと、呟くように冥府に問うた。
「攻撃の余波を受けたら、アタシだって魂の樹木だって、自分では身を守れないから、焼かれるに決まってるわよ。オダブツよそれこそ! あ、ここは死者の世界だったわね。どうせ転生するんだものね、オダブツしても問題ないかも。とにかく、せめてこの魂の樹木のまわりだけでも守ることは出来ないの?」
 ヨランダの言葉に応えて、魂の樹木の周囲とヨランダの体が青白い光に包まれる。だがケルベロスの体を包むそれはそんなに強い力を発しない。おそらくこれが冥府の限界だろう。回復のために力を割かねばならないのだから、ヨランダたちに回せる力などたかがしれている。それでも、なにもないよりは……。
「でも、何もないよりずっとマシよね。ありがとう」
 ケルベロスは、冥府の守りがついた事で、よりいっそう己を奮い立たせることに成功した。
 もう一度、遠くから咆哮が響き渡った。燃え上がるモノの声だ。
 怒りだけが、伝わってくる。
「ハイジョスル!」
 燃え上がるモノの声が、あんなに離れているのに、はっきりとヨランダの耳に届いてきた。

 炎の巨大な弾が、勢いよく飛来した。ケルベロスは炎を吐いてむかえうつ。闇色の炎と赤色の炎がぶつかり合う。闇色の炎は赤色の炎の壁にぶつかった時、わずかに押し戻される。ケルベロスがさらに炎を激しく吐きだして炎の壁を厚くする。闇の炎の塊は、ついに完全に押し戻されて宙で爆発した。炎の熱さがヨランダを襲う。ケルベロスの炎それ自体に熱は無いのに、燃え上がるモノの炎には熱があるのだ。冥府が彼女を涼しくしてくれたのに、サウナに入ったかのような熱さが彼女を襲う。
「何て熱さなの……」
 すぐまた涼しくなるのがありがたい。
 燃え上がるモノは徐々に近づいてくる。たびたび炎の玉を吐いて攻撃してくるが、ケルベロスはそのたびに炎を吐いてそれを押し戻す。距離が縮まってくるにつれて、燃え上がるモノの炎は、吐き気を伴うような嫌なにおいを伴い始める。まるで腐った肉のような嫌なにおい。ヨランダは、焼き殺されるかもしれないという不安よりも、吐き気と戦うのに忙しくなった。あの腐敗臭をわずかに吸い込んだだけでも、胸がむかついてくる。
(何なの、この臭いは……)
 そうだ、思い出した! あれは、冥府の獣が発する臭い。燃え上がるモノは、冥府の獣を山ほど喰っているはずだ、ならばあの嫌なにおいを全身から発してもおかしくはなかろう。それほどまでに、あの化け物は飢えていたのだ。冥府の獣の力を己の体内にどれだけ取り込んでも足りないほどの貪欲さが、あの化け物を動かし続けてきている。そして今、冥府の獣を喰って力を蓄えてきた燃え上がるモノは、《カリビト》と魂の二度の攻撃に一度は封印されたものの、すぐに封印を破り、最後の目的を果たすためにここへ来たのだ。
 ケルベロスは、飛びだした。これ以上、相手を魂の樹木に近づけさせないために。
 燃え上がるモノを、ケルベロスの炎が包み込んだ。だが、燃え上がるモノは、平然として、炎を喰い始めたではないか!
「ムダ……!」
 喰った炎を、燃え上がるモノは再び口から吐き出した。その炎を浴びたケルベロスだが、ぶるっと身を震わせて火の粉を払う。元々自分の吐いた炎だ、ダメージはないようだ。
「頑張ってよお」
 戦えないヨランダはそれしか言えなかった……。
 魂の樹木は、先ほどよりも明るく、眩しく輝いている。それでも、目覚めてくる気配はない。
「早く目覚めてちょうだい……」
 ヨランダにとって、最後の頼みの綱となるのは、氷雪だった。ケルベロスがあの燃え上がるモノを打ち倒す事が出来ないのは、もう知っている。本当にあの化け物を滅する事が出来るのは、氷雪だけなのだ。だからこそ早く彼に目覚めてほしい。
「お願い、早く!」
 燃え上がるモノは、襲ってくる巨大な犬相手に、一歩も引かず、戦いを繰り広げる。炎を吐きつけられ、腕を食いちぎられても、すぐその腕は再生してしまう。たくわえている冥府の力が再生を促しているのだ。傷を癒そうとする冥府の力に、燃え上がるモノの中にある冥府の力が反応している。攻撃されて傷を負ってもすぐに再生する。だが、その傷跡から、これまで取り込まれてきた、獣と化した魂がブワッとたくさん逃げ出す。冥府の番犬の頭のひとつはその魂に炎を吐きつけて浄化する。浄化された魂は次々に魂の樹木を目指して飛んでいく。
 食いちぎられた箇所はすぐに再生して傷がふさがる。だが再生して傷がふさがるまでに、たくさんの魂が飛び出していく。一体どのくらいの獣を、燃え上がるモノは喰らってきたのだろうか。しかも獣だけではあきたらず、冥府の傷口を喰ってその力を直接取り込んでいる。どれだけ貪欲なのだろうか。冥府の傷口から生者の世界に逃亡したり魂の樹木を何度も襲ってきた冥府の獣や《忌まわしいモノ》よりもはるかに貪欲だ。
(こんな奴が、氷雪ひとりのためにたくさんの獣を喰って力をつけてきたなんて、信じられないわ)
 ヨランダは身を震わせた。たったひとりの魂を喰うためだけに、この化け物は、これほどたくさんの魂や冥府の力をむさぼり食って力を蓄えてきたのだ。
(冥府はそれを知っていたのに、手を出せなかった……。もっと早くたたきつぶす事だって出来たはずなのに、どうしてそれが出来なかったの? 《意思》はどうしてそれを許さなかったの?)
「ハイジョスル!」
 燃え上がるモノの不気味な声が響く。激しい、赤い炎がその口の中で燃え盛る。ケルベロスはその炎が口から吐かれる前にと、自分の体で体当たり。燃え上がるモノは体当たりで弾き飛ばされ、その拍子に、見当違いの方向へと吐きだした炎の玉は、空中をまっすぐ上昇して消滅した。
 倒れた相手の頭を、ケルベロスは食いちぎった。

 GYOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!

 聞くに堪えぬ、異様な悲鳴が、食いちぎられた頭からほとばしった。
 ヨランダは思わず耳をふさいだ。だが耳をふさいでいる手を通して、その音声は彼女の耳を容赦なく攻撃してくる。
 燃え上がるモノの、食いちぎられた首の痕。そこから勢いよくたくさんの魂が飛び出した。ケルベロスのふたつの頭が同時に炎を吐き出して魂を清める。残った一つの頭は、口に燃え上がるモノの頭をくわえていたが、力を込めてその頭を噛みつぶそうとする。が、どんなに力を込めても、その頭は潰れそうにない。とんでもなく硬いのだ。むしろケルベロスの牙が折れてしまうのではないかと思われるほどに。それでもケルベロスは頑張る。
 悲鳴がやんだ。
 ぐちゃ、と音を立てて、燃え上がるモノの頭が、噛みつぶされたのだ。
 頭を噛みつぶしたケルベロスの口から、ダラリと垂れてきたのは、燃え上がるモノの体液と思われる、どす黒い液体。液体から発する腐敗臭はきわめて強烈であった。その腐敗臭をわずかに吸い込んだだけで、ヨランダはめまいがした。自分の体から力が抜ける、虚脱感。
 燃え上がるモノの体は、倒れた。ケルベロスは、長い舌をのばして、噛みつぶした不気味なものをべろりとはきだした。首をちぎられたのだ、さすがに生きているはずがない。いや、元々魂だったのだから、死んでいて当たり前だ。
「た、倒せたの? ねえ、冥府どうなの?」
 ヨランダは、おそるおそる冥府に問うた。
――……否。
 冥府は否定した。
「でも、首をちぎられたのよ?! 生きてるわけないわよね! あ、もともと死んでるんだっけ。とにかく倒せているはずよね?」
 なるべくそれを見ないようにしながら、ヨランダは冥府に問うた。だが、冥府は全く見当はずれな答えをしただけであった。
――時が来た。あるべきものが、あるべき姿に戻る時が来た。
 直後、どこからか一つの黒い球体が姿を現す。ケルベロスは嬉しそうに尻尾を振った。球体は、倒れている燃え上がるモノの傍まで来ると、《カリビト》としての姿を形作る。
 紅蓮は、暗い顔で、燃え上がるモノの傍に立っていた。
「目覚めたのね……」
 ヨランダは、元気の無い声を出した。本当ならば、燃え上がるモノと戦える者が目覚めてくれたので、嬉しくて仕方ないはずなのだが……《意思》が彼女に見せたあの映像を思い出し、彼女は素直に喜べない。
「あの……」
 紅蓮に何て声をかけたらいいのだろうか。ケルベロスは、ヨランダの不安や迷いをよそに、嬉しそうに紅蓮に歩み寄ってその大きな頭の一つをすりよせた。だが紅蓮は撫でてやらず、暗い顔のままで足元の燃え上がるモノの体を見おろしている。
 紅蓮の片手がケルベロスの頭に触れる。直後、ケルベロスは甲高い悲鳴を上げて飛びのいた。紅蓮の手があてられたところを、ケルベロスは前足で必死にかいている。どす黒い手の痕がついているだけだが、そこからはあの、燃え上がるモノの体から発された腐敗臭が漂っている。
「紅蓮、あんた――」
 ヨランダは身震いした。
 燃え上がるモノの、食いちぎられた首の痕から、魂にまじって、ドロドロとした液体が流れてくる。それは紅蓮の足元を包み、辺りに広がってくる。
「お前も見たのか、あれを」
 ヨランダはうなずいた。
「俺があんなことをしたなんて、信じられない……」
 紅蓮は震え声でヨランダに言う。
「しかも俺が望んで、冥府に記憶を渡したなんて……」
 紅蓮の足元を覆ったドロドロの不気味な液体は、足首を伝って、上に登ってくる。紅蓮は身を震わせながら、ヨランダに訴えかけた。
「これは嘘なんだよな? 冥府と《意思》が俺をだましてるだけなんだよな?」
「……」
「なあ、そうなんだろう?」
 だんだんその声が悲痛なものに変わっていく。
「嘘だって、嘘だって言ってくれよ!」
 何も答えは無い。答えられない。
 紅蓮の体から、不思議な色の光が昇ってくる。いや、これはむしろ紅蓮からそれが抜き取られているようにも見える。
「どうして、俺から力を抜いて、《カリビト》から魂に戻そうとしているんだよ!? これじゃ戦えない――」
 紅蓮の体から、《カリビト》の力が完全に奪い取られた。直後、紅蓮の体は消え、ただの魂に戻ってしまう。青白い魂は、すぐさま、ドロドロの液体に包みこまれた。
 倒れていた、燃え上がるモノが起き上がった。食いちぎられた首が生えている! さらにその顔は、
「紅蓮……!」
 ヨランダの言葉通り、その獣の顔には、紅蓮の面影が残っている。
 紅蓮は、燃え上がるモノに吸収された。
「アタシだって思うわよ、これが嘘だったらどんなに良かったか……」
 ケルベロスは痛みから回復し、起き上がった燃え上がるモノを見て、唸り声をあげる。だがどこか弱気な唸り方をしている。先ほどまで、永い間共に獣を狩り続けてきた相方が、討つべき敵に変わってしまったのだ、動揺しているのだろう。
 燃え上がるモノは、魂の樹木を見た。
「タマシイ、ヒトツ、ニ、ナル……!」
 異様にしわがれた、紅蓮の声。燃え上がるモノは、ヨランダに目を向ける。
「ジャマモノ……」
 紅蓮の面影は顔だけで、ほかはすっかり燃え上がるモノに支配されてしまった。炎を吐きだそうとする燃え上がるモノに、ケルベロスが飛びかかる。その巨体で押しつぶそうとするが、燃え上がるモノが腕を振った途端、たいした力を込めたと思えないのに、ケルベロスはあっけなくなぎ倒されてしまった。しかも腕の当たった、ケルベロスの毛皮にはどすぐろい痕がついている。ケルベロスは激痛でもだえ苦しむ。燃え上がるモノは闇色の炎を浴びせ、ケルベロスを焼き払おうとするが、すんでのところで冥府が結界を張り巡らせたので、ケルベロスに炎は当たらなかった。
――記憶を受け入れきれず、暴走した。
 冥府が、ぽつりとヨランダに言葉を投げかけた。
「受け入れられるわけないじゃないの、あんなのっ!」
 ヨランダは身震いが止まらなかった。
 燃え上がるモノはまずケルベロスを排除することに決めたらしかった。なんとか立ちあがったケルベロスへ炎を浴びせる。結界に阻まれるが、燃え上がるモノは構わず炎を吐く。痛みでもだえたケルベロスは結界が切れぬうちに体勢を立て直し、再びとびかかった。直後、結界が消える。燃え上がるモノは、体当たりされるより早くヒラリと身をかわし、その毛皮を引っ掴んだ。
「ハイジョスル!」
 巨体の番犬を、燃え上がるモノは軽々と持ち上げ、ヨランダに向かって投げつけ、炎を吐いて追撃した。ケルベロスは、魂の樹木を守る結界にぶつかり、続いて炎を浴びせられ、悲痛な鳴き声を上げる。巨大な犬が結界にぶつかった時、ヨランダは思わず悲鳴を上げ、しゃがみこんだ。自分にぶつかるかもしれないと本能的にとった行動だったがこれは正解だった。ケルベロスがぶつかった衝撃で結界が少々ゆるみ、燃え上がるモノが吐きだした炎を若干通してしまったのだが、彼女の頭上をわずかに焼いたに過ぎなかった。それでも、彼女がしゃがまなかったら、闇色の炎は彼女を包みこんでいたであろう。
 ケルベロスは立ち上がり、勇猛果敢に突撃する。攻撃された痛みで自分を奮い立たせて、燃え上がるモノに襲いかかる。燃え上がるモノはすぐに炎を吐く。ケルベロスも負けじと炎を吐く。力は互角、闇色の炎と赤い炎はぶつかりあっている。
 ヨランダは、立つのも忘れ、しゃがんだ姿勢のまま、呟いていた。
「やっぱり信じられないわ。あれが、本来あるべき姿だって言うの……?」
 その通り。

 冥府に穴をあけてたくさんの獣どもを外に解き放ち、自らは死の間際の肉体から離れようとした氷雪の魂を喰い、全て喰い尽くさんとするあと一歩のところでケルベロスに妨害されて冥府に戻された、冥府の獣。
 それが、紅蓮のあるべき姿。


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